私もおんなじ

 週4で一日二時間だけのバイトを苦しいと感じて行きたくないと思ってどうしようもなく休みたいんだけどやっぱりバイト先のひとに嫌な顔されるのもこれから気まずいし穏やかに私を尊重するよと笑っている上司にやめたいなんて言いだしづらくて、そこは何らブラックなわけでもなし、ただ私の心の問題なのでしょう、やめることも休むことも出来ずに、行きたくないけど休む理由も思いつかずに、朝起きてぼんやりとだるくてそれでも親に急かされて時間に焦って苛々しながらドアを蹴飛ばしていく学生時代と何も変わってない。
 変わっていないのは善いことなのか悪いことなのか、たぶんどっちでもないし、変わりたい人間からしたら善いことで変わりたくない人間からしたら悪いこと、ううん、嫌なこと。
 バイト。大きな坂を越えて行くのはつらいけどそうしなきゃ生活出来ないし明日の食い扶持も確保できない身なので休むのも出来ない。時々生きてくためなら何でもやるって言葉を聞く。それはテレビのなか、画面のなか、SNSの仮面の裏、そうして私の耳たぶに出来た腫れものから。
 私は確かに生きていく為にたった一日二時間バイトをしなくてはならないのだけれど、如何して生きていこうと思うのかな。決して何故私が存在しているのか、という高校の倫理を受け直したいわけではないんだけれど、皆とりあえず生きていこうとするのだ。
 生きるために身体を売って、生きるために地べたに這いつくばって。どうしてそこまでして生きようと思うのかな。永遠に生きていたいと思う人間の七割は、わたし、ただ死ぬのが怖いだけなんじゃないかって思うんだ。ただその恐怖を先延ばし、永遠に程近いところまでぶん投げることで安心したいのではないか、私そう思うのです。
 たぶん何故生きているのかと聞かれたらなんとなくとしか答えようがないし、眼前に刃物を持った男が現れたら当然逃げると思う。死にたくないしね。でも死にたくない理由はやっぱり、何となくなんだ。漠然とした生への執着が私に生存本能があるように思わせるけど、生存は本能じゃなく願望なんだ。知ってるよ。習ったよ。
 明日はバイトがあるのだけれど、やっぱり行きたくないなあと思うし、きっと温かくなってきたから忙しい。私は下っ端なので言われたことをやるだけなんだけど格納する荷物は多いやら、足は痛いやら、けれど仕事がなくなったらそれはそれで暇でたまらないけれど何すれば善いですかなんて聞けない弱さ脆さ、それでいて優しさ。
 バイトの何がいやかと言われたら別に嫌じゃないんだけど、学校もおんなじでなんとなく嫌で、行きたくなくて、言ったら行ったでそれなりにおしゃべりして授業を受けて寝て部活動をして帰ってきたらああ疲れたと制服を脱ぐんだけど、何が嫌なんだろうなあ。曖昧な不安が一番危険なんだよね。知ってる。これも習った。でも教えた先生の名前は知らない。

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