私の為というなら代わりに不幸になって欲しい

 もう直ぐバイトの時間だなあって心臓がどぎまぎしてる。忙しかったら身体が悲鳴をあげてしまうし暇だったら退屈で私はここでだらだらと歩いて時間を潰すだけのためにバイトをしているのかと泣きたくなってしまうし、どちらにしてもバイトは辛いのだ。そもそも辛いことをするからお金をもらえるわけで、好きなことをほんとうにちゃんとした意味で仕事に出来ているひとを私は知らない。母は自営業だから好きを仕事にしてる、って言えるんだけど収入は安定しないし、現に家を担保にしてお金を借りなきゃいけないかなあなんて話さえしてるくらいにはたいへん。それは仕事としてちょっと成立してないんじゃないかな。うちの母親は人間なんです。
 好きを仕事に出来たら幸せだろうなあ。楽しいかどうかは知らないけれど。でも私自分が何を好きかよく判らないから、少なくとも職業として存在しているものを好きってわけじゃあないんだよねぇ。こうして何かを書くのは好きだけど小説家になりたいわけじゃないし、なれるとも思えないし、そして私好きなことが思いつけないんだよねえ。やってみたら意外と楽しかった、はあるかもしれないけどやってみたらこれが好きなことに気づいたなんてことはそうないような気がして、うーん。
 好きなこと。美味しいものを食べること。本を買うこと。それで読むこと。可愛いものを買うこと。ゲームをすること。寝ること。色々書くこと。写真を撮ること、ただしひとはいや。
 嫌いなこと。虫が近づいてくること。生ぬるい風。詰まらない授業。バイト。私のためって言葉。自転車に乗ってるときの強風。スクロールに対応してくる広告。
 幸せの絶対量が決まっているなら私喜んで幸せをつかみ取るために努力と名のつく悪行をする。きっとみんなそう。絶対的な上限があるなら誰よりもそれを手に入れようと頑張ろうとする。誰が皆の幸せの為に私は遠慮しますよなんて言うものですか。そういうひとの本音など誰よりもどす黒くて見返りを期待しているのですよ。見返りも期待しない何も要らない貴方の幸せの為に私は遠慮しますがほんとうのほんとうのひとなら、それはとてつもなく気持ち悪いカンパネルラへの恋慕。
 うーん。悪口を言ったらバイト前三十分前になってしまった。
 愛は凡てを赦してくれるのだろうか。凡てのリセットボタンなのかな。

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